会長挨拶
松陵会のみなさまへ
松陵会会長 宇野 望(1回生) 2025.7
同窓会のみなさま、高校を卒業されてからいかがお過ごしでしょうか。学業にお仕事にそれぞれのステージでご活躍の事と存じます。
今年、母校が創立40周年を迎えます。11月1日の記念式典に向けて昨年度から学校、育友会と共に準備を進めて参りました。式典では第1回生の中嶋秀昭氏を講師に迎え、記念講演をしていただく予定です。同級生でもあり、世界で活躍する彼がどのようなお話をしてくれるのか、今からワクワクしています。
昔からプロレスが好きで、今でも週に3本地上波で流れている放送は欠かさず見ています。
筋書きしかないドラマの中で、技を受ける事で痛みを伝え、耐えることで強さをアピールする。ケガをしないよう日々鍛錬し、試合の中で瞬時に流れを組み立て、相手を輝かせ、自らも輝く。その上で観客を熱くさせる。そんな彼らに表現者のプロであると尊敬の念を止めることができません。
40年前、地元に”燃える闘魂“アントニオ猪木率いる新日本プロレスがやって来ました。中学生だった私は勇気を振り絞って“爆弾小僧”ダイナマイト・キッドに色紙を差し出しました。当時のスーパースター、初代タイガーマスクのライバルとして一躍有名になった強面の男です。
D・キッドはイカツイ表情のままその色紙を受け取ってくれました。「やったぁサインがもらえる!みんなに自慢してやるぞ!」と心の中でガッツポーズの私。次の瞬間、目の前で色紙は破かれ何事もなかったように彼はロッカールームに去って行きました。「おいおい、キッドそりゃないよ…」と半べその私。
今なら、ヒールである彼の行動はプロに徹していると納得できます。少年ファンを1人失うより、自分の立ち位置を大事にした、と称賛することもできます。当時は混乱してそれどころではありませんでしたが。
現在、世界中を混乱に貶めている最狂のヒールをご存じでしょうか。”金髪の独裁者“の異名を持つ彼は、オレがルールブックだと団体を作りリーダーとして君臨しています。一部の熱狂的ファンに支えられ、やりたい放題好き放題暴れています。
全ては自分が一番になるため、理不尽な要求を求めている状況です。
例えば、トランプの大富豪でルールを無視する人と楽しく遊べるでしょうか。オレにだけ毎回、強いカードを3枚渡しやがれと言われても、当惑するだけで仲良く盛り上がることはない、と容易に考えられます。
例えば、ウチの商品を買ってもらうために他所の商品を全て値上げしても果たして思惑通りいくでしょうか。経営者もサラリーマンも消費者です。消費者の心理や動向を無視した経営はやがて淘汰されるでしょう。
例えば、アメリカ車が売れないのは関税以外の障壁があるからだ、と叫ばれても到底納得できるものではありません。
売れないのにはきちんと理由がある訳で、故障の多さ、燃費の悪さ、日本の道路事情に合わない大柄なサイズ、価格の高さなどいくつも挙げることができます。壊れないエンジンを造る事ができれば信頼を得ることも可能ですが、それには長い年月が必要だと思います。
それならば、すぐに出来る右ハンドル仕様やコンパクトサイズの車種をもっと多く投入すればいいものを、何年も変わらない状況です。
日本車はハンドルの仕様や安全基準をそれぞれの国に合わせて輸出しています。安くて信用でき燃費も良いのですから売れるのは当然でしょう。
話が逸脱してきました。プロレスの話です。善玉が悪玉を困難の末やっつける。物語の王道です。時としてそれだけでは満足できないことがあります。観客は常に刺激を求めています。常識が破壊され思いもよらない現実が現れたとき、熱く支持する連中も多く現れます。オレ様一番の名の下に進む破壊。それは予想のできない暗い影が私たちの世界を覆ってしまうようで恐怖でしかありません。
この行く末がどこに向かうのか、彼が国際社会の信頼を失うことなく立ち振舞えるのか、見つめていきたいです。