松陵会のみなさまへ

同窓会会長  宇野 望(1回生)

 

同窓会員の皆様いかがお過ごしでしょうか。高校を卒業されてから益々学業にお仕事にご活躍の事と存じます。 

昨年の9月から毎日のように走っています。

きっかけは、体重が増えて増えて、お腹が出てきたのを隠し切れなくなったからです。

そもそもは新型コロナが流行し始めた頃に始まります。仕事の休みは増えたものの不要不急の外出は控えるようにと言われ続け、生活のリズムが狂ってきたのが原因かと思われます。

運動していないのに食べる事に比重が傾きました。外に出られないのならと、自宅の小さな庭で炭をおこして肉を焼き、燻製器を作りチーズにゆで卵、ビーフ、チキン、サーモンを燻しまくっていました。

時には娘と一緒に生地をこね、手作りの一斗缶グリル器でピザを焼いていました。日が暮れると焚き火の炎を肴にお酒を楽しむ日々でした。

外出できず、キャンプ場に行けずとも、アウトドアライフを満喫、堪能していました。

 この頃から薄々、気づいていました。ズボンに乗っかるお腹を、また一つ横にずれるベルトの穴を。

しかし、そこは見てみないふりして“だってコロナなんだもん仕方ないじゃん”と言い訳にならない言い訳をする毎日を過ごしていました。

 そしてついに鏡に映る自分のだらしない体に我慢できなくなって運動しようと決心したのが10ヶ月前の事です。

人生、27で死ねるならロックンロールは僕を救った。byヨルシカ

 走っている時によく頭に浮かぶことがあります。

ジャニス・ジョプリン、ジミ・ヘンドリックス、ドアーズのジム・モリスン、ニルバーナのカート・コバーン。好きなロックスターはみんな27歳で他界しました。

彼らは何を生き急いだのか。皆そろって国内の若者たちの熱狂的な支持を受けながら、最期の時は寂しく孤独に迎えました。

一方、高校生の時でしょうか、ローリングストーンズのミック・ジャガーがドラッグも喫煙も止めて健康のためにジョギングをしているという記事にショックを受けたのをよく覚えています。

「おいおいミック何してるんだよ。セックス・ドラッグ・ロックンロールの体現者だと思ってたのになんてこった。そんなのロックじゃないぜ!」高校生の私が叫んでいました。

27歳で逝った彼らのようにミック・ジャガーに伝説になって欲しかったのかもしれません。同じ時代を生きたスターとして永遠に記憶に残るシンガーになって欲しかった。それなのに健康オタクになってしまった彼に強い失望をおぼえてしまったのです。後に望んでいないのに、大好きだった尾崎豊が26歳で同じ様な最期を迎える事となりましたが。

 走っている時は苦しいです。いつまでたっても心肺機能は上がってくれないし、足だって重たくて上がらないときもあります。それでもヘロヘロになってゴールした時、いつも充実感があります。社会人になりたての20代の頃、誰もが毎日苦労と緊張、挑戦の連続だったでしょう。しかし、どんなに小さな事でも成果を得るたびに達成感を味わっていたかと思います。

同じ様に走っていると長い距離を完走できたり、タイムが上がったりそのたびに達成感を得る事ができます。昨日の自分に勝つための努力は苦しいとは思いません。むしろ今日を生きていると強く感じるのです。傍から見るとおじさんがゼーゼー、ヒーヒー足を引きずっているように見えるかもしれませんが。

生きていくことは格好悪いことの連続かもしれない。でも、無様な姿を見せることはカッコいいと思う。今ならこう思います。伝説になることなんて望まない、そんな暇があったら新曲を出してくれ。ミック・ジャガーを見習って健康でいろと。何十年もトップシンガーとして活躍している彼こそはロックンロールヒーローです。

「青春は密だ」と高校野球の監督は言いました。若い時に流れる時間は密にして刹那で一瞬一瞬がフルパワーで過ぎていきます。大人とは比べものにならない程、隣人との距離や付き合い方は密です。悩み苦しみ喜びも大人とは比べものにならない程、ミッチミチで密です。

では青春とは何か。青春とは年齢ではない。熱い気持ちを持って目標に向かっている限り青春は終わらない。もうここまでと諦めた時から老いが始まる。私はそう思っています。         

だから今日も走る。苦しみを乗り越えた時に強く生を感じられるから。生きていると大きい声で言えるように生命を燃やしています。脂肪とともに。(10s体重落ちました。)    

皆さんの青春が続きますように祈念して。                         

 

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